こんにちは、荒木です。
携帯電話やスマートフォンの普及によって、
急速に広まったソーシャルゲーム。
今回はソーシャルゲームのこれからを考えてみたいと思います。
ライトユーザーを獲得する
ゲームをする人は大きく二種類に分類されます。
普段からゲームを楽しむコアユーザーと、
普段あまりゲームはしないが、「機会があれば」「無料なら」とゲームをするライトユーザーです。
ゲーム業界を支え、収益を上げるためにはコアユーザーとライトユーザーの両方の獲得が必要です。
これまでのコンシューマーゲームはコアユーザーがほとんどでしたが、
携帯やスマートフォンの普及により、ゲームがより身近になった事で、
ライトユーザーの流入が増えました。
今後はライトユーザーの獲得が大きな鍵となるでしょう。
突然ですが、皆さんはゲーム業界から見た最大の「敵」って何だと思いますか?
私は「母親」だと思います。
子供の時に「ゲームは一日一時間」や「ゲームばかりやって」と母親から言われた経験をお持ちの方は多いのでないでしょうか?
操作性やグラフィックなど、よりリアリティを追及し、ゲーム性を高めたソニーのPSPより、任天堂DSが大ヒットしたのも「脳トレ」や「英語漬け」など、
どうせ子供にゲームをさせるなら勉強もできた方が・・・と、最大の敵である「母親(ライトユーザー)」を味方につけた事が大きな要因でしょう。
このようにコンシューマーゲームのヒットから見てもライトユーザーの獲得はヒットには不可欠です。
コンシューマーゲームに比べ、
今や携帯やスマートフォンをほとんどの人が所持しているので、
ライトなゲームで簡単に暇つぶしができてしまうため、
ソーシャルゲームにおけるライトユーザーの人口はさらに増加しています。
そういったユーザーをいかに離さないようにするか考え、施策を行っていかなければ、
業界の未来はありません。
ゲームバランスの調整、ユーザーを飽きさせない工夫、キャンペーンの企画など、
常に新しいものを繰り出して行く事が重要だと考えます。
課金ポイント
ソーシャルゲームはユーザ-からの課金によって運営が成り立っているため、
課金のポイントを明確にする事が大切です。
2012年5月、消費者庁はそれまでソーシャルゲームの稼ぎ頭であった
「コンプリートガチャ(コンプガチャ)」について、違法行為として禁止しました。
それには射幸心を煽る度合いが著しく強いと見解が示されております。
コアユーザーの方は、ソーシャルゲームについて知識も情報も豊富ですが、
ライトユーザーにはソーシャルゲームで何が起きれば、何をすれば課金されてしまうのかがわかりにくい、という方が多くいらっしゃいます。
ライトユーザーのプレイヤーの多くは「基本無料プレイ」という新しい常識にまだまだ対応しきれていません。
その結果、「知らない間に課金されるのでは?」「どこで課金させるかわからない」という認識になってしまっては、業界全体の損失となります。
またゲーム内やプラットフォーム内で使用される仮想通貨もライトユーザーを遠ざけてしまう原因になっているように思います。
課金してもらうために、よりよくゲームを楽しんでもらうために、
ゲームの本来の面白さに加え「運営の質」「ユーザビリティ」というものが重視され、
より透明性のある、誰にでもわかるしっかりとした課金の線引きが必要になるのではないでしょうか。
ヒット事例
2012年にヒットしたソーシャルゲームとして、ガンホー・オンライン・エンターテイメトのスマートフォン向けソーシャルゲーム「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」が挙げられます。
パズドラは今までの業界の常識を次々と打ち破っていきました。
それまでは単純なタッチ操作のみで、カードを集め、他のユーザーとカードの優越を競うカードバトルゲームが主流だった中で、「カードバトル+パズルゲーム」というゲーム性を確立しました。
それまでのソーシャルゲームではゲームを有利に進めるためのアイテムを有料にしたり、
ユーザー同士のカードの交換などが行える事が通常で、
運営会社はユーザーの競争心を煽り、収益を上げていました。
この結果、ゲーム内での仮想通貨やカード、アイテムなどを現実世界で売買するRMT(リアルマネートレーディング)が横行し、ゲーム業界全体に対する批判や不信感が広がりました。
パズドラでは、ゲームの中では唯一「魔法石」と呼ばれるアイテムを使用し、ガチャや体力の回復を行うのですが、魔法石を頻繁にユーザーに無料配布する事でユーザーへの安心感とお得感を獲得し、現実世界での魔法石の価値を下げる事にも成功しています。
また、交換なども禁止されているため、ユーザーが懸念していた問題をクリアにし、
それまでになかった高いゲーム性と健全性を保ちながら、
大人から子供まで楽しめるゲームとして、
配信からわずか10ヶ月で500万ダウンロードという驚異的な数字を記録しました。
業界の今後
技術的にはパズドラのヒットに見られるように、既存のものに新しい要素を組み合わせ、操作性や内容をいかに単純化できるかが大事になってくるのではないかと考えます。
運営としてはライトユーザーの参加の敷居を下げる事、ここが重要に思います。
そのために、わかりやすいチュートリアルを用意したり、マイページの導線、ボタンの配置などユーザビリティにももちろん気をつかわなえばなりませんし、
何より、ユーザーの声を反映できる体制を充実せねばなりません。
ソーシャルゲームはユーザー同士のやり取りが醍醐味ですが、
運営側とユーザー側とのやり取りも重要です。
コンシューマー向けのパッケージソフトと違い、「作れば終わり」ではなく、
配信後も改良を加え、ユーザーを飽きさせない場を提供し続ける、
課金ポイントを明確にするといったように、
開発側も一ユーザーとしての視点を強化し、
「運営の質」というものが今後一番大事になるように思います。